NARUTOの話

□奈良シカマル(28)
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「アイツら、合格できっかな」

紅先生に似たアスカ。
アスマ先生に似たアズマ。
この双子はお互いのことを信頼しているから協力するだろうが。

「問題は…ギンガだよな…」

なぜか、あり得ないほどカカシ先生と似たギンガ。
昨日、自己紹介の後、ギンガはほとんど喋らなかった。双子も敢えて話しかけようとはしなかった。
「俺はあの三人を育てなきゃなんねえのか…先行が不安だな」

脳裏に浮かぶのはかつての上忍師達。猿飛アスマ、夕日紅、はたけカカシ。

「まあ、ガイ先生がいないだけマシか…」

思考の端に引っかかった濃ゆい顔の上忍にシカマルは表情を歪めた。

「おっと、そろそろ時間だな。五分前集合って知ってっかな」

シカマルは上忍宿舎を出ていった。


「あっ先生。おはようございまーす」
「おはようございます」
「はよ」

集合場所の第九演習場で、アズマとアスカは腹をさすっていた。
昨日言った通り、朝食は抜いてきたらしい。

「ギンガは?」

まだ集合時間まで余裕はあるものの、姿の見えない少年の行方を尋ねる。

「アイツ遅刻魔なんすよ」

アズマが答えた。

「遅刻魔?」
「はあ。遅刻しない日は三日に一日」
「マジで?」

遅刻常習犯の上忍を思う。なんでそこまで似るんだ。

「先生、遅刻したらどうなるですか?」

山の端に顔を出し始めた太陽を見てアスカが尋ねてきた。

「アカデミーに戻ってもらう」
「マヂっすか!?」
「ギンガくんヤバイじゃん!!」

焦る二人。既に集合時間一分前である。

「…間に合うか…?」

昨日知ったチャクラの波動を遠くに感じて、シカマルは呟いた。
瞬身なら余裕、全力疾走(中忍)ならギリギリ、下忍の足では到底間に合わない距離である。

「ギンガくん早く来てー!!」
「アカデミーに戻されるぞー!!」

姿も見えず、チャクラや気配も感じられないだろうにアズマとアスカはギンガに向けて叫んだ。
ちなみに、実際のギンガの居場所とは反対方向に向かっていたのだが。
シカマルはポケットから懐中時計を取り出した。
ピンッと軽い音を立てて時計を開く。

「残り十五秒…」
「ギャー!!」
「ギンガ…」
「この分なら間に合いそうだな」
「ギンガくん…昨日初めて会ったばっかりなのに…」
「無愛想で嫌なヤツだったけど…いきなり…チクショウ…」

双子にシカマルのさりげない言葉は届かなかったようだ。シカマルは気にしていないが。
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