NARUTOの話
□ななのつき、はつかあまりみか
2ページ/3ページ
7月23日午前0時
サスケは、時計が0時を告げると同時に結界が解除されたことに気付いた。
「カカシ?」
台所に向けて呼び掛けるが、返事どころか気配さえ無い。
また何か妙なことでも企んでいるのか、とサスケは警戒しながら台所に侵入した。
「ハッピーバースデー、サスケ」
突然目隠しされ、しかも耳元で囁かれてサスケは一瞬、体を強張らせた。
「…!?。…こんなとこで上忍スピード発揮してんじゃねえ」
「ハハハ、驚いたのか?」
「うるさい。とりあえず手を退けろ。アンタの手は冷たいんだよ」
そう言ってサスケはカカシの手を払い除ける。
振り返れば、両目を細めて笑うカカシの顔があった。
あまりに近いその距離に思わずのけぞるサスケを、更に笑みを深めてカカシは見つめ、もう一度同じ言葉を口にした。
「ハッピーバースデー、サスケ。今日から13歳だろ?」
「…」
とっさに返事を返せずにサスケは呆然としてカカシの顔を見つめた。
「誕生日なんて気にしねえ」
ふいと横を向いて、遅ればせながら返事を返す。
「オレも、オレの先生に誕生日は祝ってもらってたんでな。せっかくだから気合い入れて料理してみたぞ」
促されて“壁”に囲まれていた空間を見てみれば、刺し身をメインにサスケの好物を散りばめた豪華な料理が用意されていた。
「お前もオレも甘いもの苦手だからな。甘さ控え目の和菓子を用意した。…ロウソク立てるか?」
ズボンのポケットから13本のロウソクを取り出してカカシは言った。
「いらねえ。…つーかアンタ、結界張ってたのはこれが理由か?」
サスケはうんざりだと言わんばかりに尋ねた。
「ああ、そうだ。誕生日前日にバレちゃつまらないだろ」
カカシはロウソクをしまいながら答えた。
「…余計なことすんな」
サスケは背後に立つカカシに顔を向けずに言うと、食卓に着く。
「オレがやりたかったんでね。ま、味は保証するから、安心して食え」
カカシはサスケと向かい合うように席に着いた。
箸を手に取り、サスケは言った。
「当たり前だ。じゃなきゃ食わねえからな」
二人同時に手を合わせて呟く一言は。
「「いただきます」」
と、
「ごちそうさま」
「おそまつさま」