NARUTOの話

□月夜
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「今日十五夜じゃないのに、なんで団子があんの?」

パクパクとあまりよく噛んでいなさそうなスピードで団子を平らげていくナルトは、窓の外の月に欠片も注意を払わずに訊いてきた。
逆にオレは皿に盛った団子の山には手を伸ばさずに、月見しながら答える。

「今年は昨日が十五夜だったからね。酒盛にはもってこいの気温だったし。これはその宴会の余り」

そう言うと、ナルトは心底驚いた様子で「昨日が十五夜!?」と団子を漁る手を止めた。

「そもそも十五夜ってのは朔日から十五日目の夜ってことだから一年に何回もあるの。中秋の名月は一年に一回しかないけど、今年はたまたま昨日だったの」

「へえー」

「へえーってお前ね……アカデミーで暦やっただろう」

「知らね。オレってばアカデミーでベンキョしなかったもん」

オレは呆れてがっくりと肩を落とした。

まあ、敬老の日とか言って来るよりよほどいい。と論点ずらして自分を励まし、なんとか顔を上げるとナルトが笑っていた。
ナルトに分かるように目元で笑い返して、オレは林立する芒を透かして月を見上げる。


ああ、いい月夜だ。


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