REBORNの話
□想い続ける女性から指輪をもらったら、普通考える事は一つだろう?
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「キモイぞγ。」
そう言ったのが太猿や野猿だったなら殴りつけていたところだが、幻騎士だったので驚くだけに留まる。
「お前『キモイ』なんて言葉知ってたのか。」
「この前ジャッポーネに行った時に覚えた。」
「あ、そ。」
会話終了。幻騎士はあまり喋るほうじゃないから、会話は途切れたらそれっきりという事が多い。
しかし数十秒後、珍しくヤツはまた口を開いた。
「キモイ。」
「言いたい事があるならはっきり言え、おかっぱ眉毛。」
「……。」
幻騎士はそのマロ眉を顰めた。
ふんと鼻を鳴らし、オレはヤツから視線を外す。代わりに熱く見つめるのは右中指に嵌った雷のマーレリングだ。
明かりに透かすと翠の輝きを放つこれはつまりあれだろう。オレの最愛の女性からの信頼の証だろう。
そう思うと、顔がほころ――
「まじきもい。」
「幻騎士……てめえケンカ売ってんのか?ああ?」
「貴様の無様に弛んだ顔など見たくないという事だ。」
「しかたないだろ。あのひとから直々にリングもらったんだ。これが喜ばずにいられるかって。」
「オレもボスがら受け取った。」
そしてヤツは不愉快そうに右手を上げて見せた。
不覚にも泣きそうになって、オレは部屋を飛び出した。
*