QUIZ MAGIC ACDEMYの話

□入学式直前
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赤い道を抜けた。
目前に広がるのは、長い階段とその上の正門。
今オレが居る場所は、この空に浮かぶ浮遊島に転移魔法で侵入すると、必ず実体化する石畳の領域。ゲートと呼ばれる所だ。

周囲を見渡して、ジーン……、と感動した。
島は雲の上に浮かんでいるので、見えるのは快晴の青空。しかも結界が張ってあって、紫外線カットだ。
天気で気分が変わるって本当だなあと実感中。
式まで時間があったし、すごく静かだったもんで我に帰る事もなく、オレは実体化した地点で動かずボーッとつっ立っていた。そんな時だった。

突然オレの真後ろの空間に魔力が満ちた。
パリパリと帯電したかと思うと、それは人の形を取り始める。誰かが転移魔法を使っているらしい。
ヤバいっ、と思って飛び退いたが僅かに遅かった。その銀色の魔力の主は、オレの袖の先と重なったまま実体化してしまった。
まだ重なったのが意思の無い、同質の服どうしだったから良かったものの、もし体のどこかだったら……。
良くて魔法が弾き返されて失敗に終わるか、悪くて拒絶反応とか、同化……?いや、考えるのはよそう。すっげー怖い。

とにかく、既に両足が地面から離れていたオレは、誰かの袖と自分の袖をくっつけたまま倒れ込んでしまったのだ。

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