短編集「紅蓮」
□はやく帰ってきてよ
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「だーかーら!なんでまたアンタがココにいるの!!!」
彼女、小泉牧の自宅にあの男が居座るようになったのは
3日前のこと。
「へぃ?オレ?だってオレ…ユーレイだもん!」
彼の名前は伊喜孝太。正真正銘ユーレイでした。
ただし、ユーレイと言っても…生き霊。
彼は三日前のバイク事故で、意識不明となった。
「あ、アンタ…はやく戻ってきなさい!なんでユーレイのままでいるのよ!そのせいで私はどれほど迷惑かかってると思ってるのよ!」
牧にとっては孝太が霊体のままさまよっていることが不可解だった。
だけど孝太は目を逸らし、説明することを躊躇っていた。
そのせいで牧は孝太に苛々するばかり。
「だってぇ〜透明だと、何かと便利だし、牧の傍にいれるなんてラッキーだもん☆」
牧は気づいていた。
その言葉はただの誤魔化しだと。
なんで
私たち仲間じゃん。
牧は男女共に仲良しグループの孝太を友として尊敬していた。
誰よりも思いやりがあって
彼がいるクラスには寂しそうなクラスメイトが一人もいなかった。