短編集「紅蓮」

□螺旋階段〜彼女と彼の関係〜【完】
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「あ、国角と蔵野さん。あれ邪魔だった?」
金沢君は私とコウが付き合っていると勘違いしてるみたい。

「違うって・・部活帰りか?」コウは即座に手を横に振りながら否定。

「いや少し怪我しちゃって、早くあがったわけさ。」

「大丈夫?」あまりクラスでは話さなかったので小さな勇気を振りしぼってみた。
金沢君はいつも面白い事をいって場を和ませたり、私にもあいさつしてくれるいい人。

すこし気になっていたからドキドキして、顔はあまりよく窺えることはできなかった。
すると、金沢君はニコッと微笑み
「これくらい平気だよ。」って。

そういえば金沢君とコウは結構仲がいいみたい。
確か・・中学の時にコウがお母さんに無理やり通わされたスイミングスクールで知り合ったらしい。

「そだ、国角。あのホラー映画観たいっていってただろ?抽選で試写会当たったんだけど行くか。」
金沢君が手にしてる白い封筒に試写会券等表と記している。
「そういうのは女を誘えばいいだろ。」

「いたら誘わないっしょ。あと一枚余ってるから他にも誰かいないかな。」

するといやな予感がするなと思いきや案の定コウが私を見てニヤニヤしている。
「わ、わたしは・・・。」たじたじになりつつも無言でコウが背中をポンっとたたく。

「じゃ、蔵野さんと国角ね。明後日の日曜にセントラル広場で9時ぐらいに待ち合わせってことでいいかな。」

「おーけーおーけ」

「じゃ、そろそろ帰るわ。」金沢君は曲がり角を急しく曲がっていった。
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