短編集「紅蓮」
□悪戯【完】
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彼女の透き通る美白の肌。
薔薇のように紅い唇はふっくらとしていて、
黒い長髪の髪はテレビに出てくるヘアーモデルと同じ様にサラサラしていた。
遠目で見て、美人に見えて実際はそうでもないことがよくあるかもしれない。
だが、そんな心配はいらないほど彼女の顔の造りは丁寧で繊細だった。
やはり加賀 ゆう子は、どう誰がみても美しいと言わざるおえない少女だ。
高嶺の花。
俺は毎日その顔をみることために学校へ来ているようなものだ。
『恋』ではないのか確かだ。
俺の前で笑って欲しいとか一緒に話したい、
そんな欲は起こらないくせに…教室の中一人で佇む彼女の姿をみるだけで
俺と同じなんだという安心感がある。
そして
キレイな加賀さんの表情が暗い理由を
想像するのが楽しいんだ。
これが悪癖だと呼ばれても構わない。
俺は俺。
人は性格や顔が違ってこそ趣きがある。
違ってなきゃいけないはずなのに
所詮、学校の中の奴らは『同じ』を好み、『違い』を恐れる。
どこか外国人は言っていた、日本は集団で行動するのが好きだと。
まぁ別に日本がどうだとかはいい。