短編集「紅蓮」
□壊して直して【完】
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私が陰でなんて呼ばれているか知っている。
目が細いから「女ギツネ」らしい。
馬鹿くさい…。
相手にしてなかったのに。
(回想)
「マジ女ギツネムカつかない?」
放課後のトイレ。
私が掃除当番だと判っている他の女子メンバー三人。
私は…一体なにをしたんだ?お前たちに。
言われもない悪口に吐き気がして、米かみが浮き立つ。
「なんであんな女がいいんだろ!汀はさ。」
アイツの名。
なんで聞きたくもない名前が?
ますます不愉快だ。
「汀って松下君?…あの人イケメンなのにねぇ〜。いつも女ギツネ超イジってるし。」
松下 汀
マツシタ ナギサ
アイツは学年一番目立っているヤツだ。顔がどっかのアイドル風で、背が180センチあるらしい。
女子男子、交友関係が広くて浅い。外見もトータルしたら軽くチャラい。
いつも女たちに囲まれて多いからか。
興味がなくても嫌でも耳にはいる。