第弐図書室
□chaser.
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和馬は余りの寝苦しさに目を覚ました。
瞼はまだ重く、意識もぼんやりとしていたが、額に汗が滲む感覚だけははっきりしている。
暑さや体内の熱によるものでは無い、些か感触の悪い汗。
やがて、或る部分から耳にかけて急激に熱くなり、呼吸が遮られる。
はっとして、目を見開いた。
そこには。
「……お目覚めかしら」
暗がりで表情は見えねど、明らかに悪戯な笑みで唇を歪ませ、初めに熱を感じた場所――喉元に手を掛けている女の姿を確認する。
「さ、な、え……」
我ながら聞き苦しいと思える程の掠れた声で、どうにか女の名を呼んだ。
女こと早苗は、その華奢な身体の何処からと思う様な力で、ひたすら和馬の首を締め付け続けた。
得体の知れない熱が脳天まで駆け上る。
じわりじわりと頭全体を鋭利な刃で締め上げられる様な痛み。