第弐図書室
□soleil de luxe.
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――決して、私は少女趣味などでは無い。
しかし、目の前にした彼女に限っては、美しいとしか言いようが無かった。
古今東西美少女に対して、
“天使の様だ”とか
“眩しく光輝いている”
といった形容詞が常套句であるが、私の脳裏にはそんな表現すら浮かばなかったのが現実だ。
有無を言わさぬ気迫すら、その幼さ溢れる容姿から漂っていたのだから。
「今日は、先生」
少女はそう言うと、上質なレースを纏ったスカートの裾を上げ、膝を軽く折っては深々とお辞儀をした。
そう、まるで西洋の淑女の様に。
あまりに自然なその挨拶は、ご両親の教育の賜物だろう。
私は再び呆気に取られてしまった。
「これはこれは……ご丁寧にどうも」
情けない。
少女の何倍もの人生を歩んでおきながら。