novel
□blue tears
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blue tears
秋から冬にかけての季節の変わり目、
『流れ星へ』が発売から何ヶ月が経つが、未だシングルランキングでトップ10入りしている。
街では、有線で私達の歌が溢れている。
だが…あの御方は一向に現れる気配がない。
まだ何か足りないのだろうか。
「…大気?」
夜天は、席に着いて考え事をしている大気の顔を覗き込んだ。
「…ぇ…?」
「どうしたの?授業終わったよ?大気、今日部活無いんだから帰ろ。」
「あ、そうですね…帰りましょう。星野は…」
「星野はアメフト部。」
「ぁ…そうでしたね。」
夜天はいつも自分達のスケジュールを管理している大気が星野の部活日を忘れていたのが気になった。
「らしくないね。もしかして体調悪い?」
「いや、大丈夫です。さ、帰りましょう。」
いけない。
仲間に心配をかけてはいけない。
大気は鞄に教科書を入れ、夜天と共に足早に校門を出た。