novel

□crazy for you(後編)
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crazy for you






夜8時過ぎー



テレビをつけると音楽番組にスリーライツが出演していた。



楽しそうに司会者と取り留めのない話で盛り上がった後、ステージに立ち、新曲を発表する。


ブラウン管を通して、星野の高く澄んだ声が響く。




ーおだんごが好きだー



不意に、昨日の出来事が蘇った。



セイヤの気持ちを知って、


あたしも気づいた。


ううん、本当はずっと前から気付いてたの


セイヤを大好きだってこと。






今日はセイヤ達、学校来なかった…



多分、最近仕事が忙しいってセイヤが言ってたから、そのせいだと思う。



現に今も生放送中だし…ー



星野の歌う時に見せる、どこか切なげな表情に、思わず見とれてしまう。


アップに映ると、一瞬、目が合ったような気がした。



その度にドキッとして、意識している自分がいる。




「うさぎー、お風呂冷めないうちに入っちゃいなさーい!」


「うん‥」




ママに言われ浴室に向かい、湯気が立ち込める浴槽に浸かる。






「まもちゃんに…言わなきゃ‥」



うさぎは浴室の天井を見上げ、呟いた。




そう…まもちゃんに伝えなきゃ…



セイヤのことが好きだってこと…



これからはセイヤと一緒に歩んで行きたいって…


「言わなきゃ…」



うさぎは自分に言い聞かしていた。




次の日、

今日も教室には星野達三人の姿は無く、うさぎは自分の後ろの星野の席を見つめ、寂しげな表情をしていた。



そんなうさぎを心配そうに美奈子達は思っていた。
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