novel
□blue tears
2ページ/6ページ
今日は久々に仕事も無い。
家に帰ったら、詩を考えよう。
もっとあの御方に届くための歌を作らなければ…
「あっ…!!」
大気が突然声を上げたので、隣に歩いていた夜天は体をびくつかせた。
「な、なに!?」
「机の中にノートを忘れて…」
「ノート?」
思いついた時に書き留めている歌詞ノートを机の中に忘れてしまっていた。
すると大気は体をUターンさせて言った。
「夜天、すみませんが学校に取りに戻るので、先に帰っていてください!」
「えっ…ちょっと…」
大気は夜天の言葉も聞かず、来た道を戻って行った。
「私としたことが、忘れ物なんて…」
学校に着き、小走りで教室に向かう。
1ー1の教室のドアを開けると、窓際に1人の少女がグラウンドを眺め、立っていた。
夕日に照らされた髪は水色に輝いて見えた。
「水野さん…?」
大気の声に亜美が振り向いた。
「え、大気さん!どうして…」
「私はちょっとノートを取りに…水野さんこそどうしたんですか?クラスも違いますし…」
大気は机の中のノートを探しながら言った。
「あたしはまこちゃんを待ってるんです。なんでも料理部でケーキを焼いてるらしくて、試食させてもらうんです。」
「木野さんを?…あぁ、そういえば近々ケーキを作るとかなんとか、月野さんが騒いでいたのを聞きましたね。」
「本当はうさぎちゃんも試食させてもらうはずだったんだけど、家の用事で帰ってしまって…一番楽しみにしてたのに残念がってたわ。」
亜美は困った表情で微笑した。
「そうですか…」
2人とも話す事が無くなり、暫し沈黙が流れた。
すると‥
『♪♪〜♪〜♪…』
沈黙を破るように亜美の携帯のメロディーが流れた。