novel
□crazy for you(前編)
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crazy for you
俺はいつものように
大気の運転する車に乗って、
いつものように、女子からきゃあきゃあ言われながら、
いつものように…
教室に入った。
「おはようございます、木野さん。」
「ぁ、おはよう!大気さん!」
大気は、まことの前の席に座り、挨拶を交わした。
「夜天くーん!!♪おっはよぉー☆」
美奈子は早速、夜天にアイドルスマイルを振りまく。
「ぉはょ……愛野…もうちょっとボリューム下げて。」
夜天はしかめっ面をしながら、席に着いた。
賑やかなクラス
普段と変わらぬ光景…
だが…明らか雰囲気がいつもと違っている2人がいた。
「おはよ、おだんご!!」
星野は席に鞄を下ろし、前の席のうさぎに声をかけた。
「…………ぉはょ…」
うさぎはなぜか元気が無かった。
「え…、お、おだんご?…どうした…?;」
「別に…なんもないもん」
ぷいっと顔を隠すうさぎ。
いつもと違ううさぎの態度に星野は戸惑いを隠せない。
「…俺、なんかおだんごに怒らせるような事した…?」
星野は恐る恐るうさぎに尋ねる。
「怒ってないよ。」
「いや、怒ってんだろ?」
「怒ってないって…」
「言えよ!なにに怒って…」
「だから怒ってないっっつってるっしょーっ!!!!!」
うさぎは怒りが頂点に達し、椅子から立ち上がって星野を怒鳴りつけた。
一瞬にして、騒がしかったクラスが静まり返り、大気や夜天、美奈子、まことは驚いて口を開けていた。
「なっ、なっ、…なんで俺が怒鳴られなきゃいけないんだよ!!俺が何したっつーんだよ!!」
なぜ自分がうさぎに怒られているのか、訳が分からない星野は必死にうさぎに反抗した。
だが、タイミング悪く、そこに先生が入って来た。
「席着けー。HR始めるぞー。」
「ふんっ!」
うさぎは向き直り、席に着いた。
クラスの皆も驚きを隠せない様子で席に着いた。
「なんだ、今日はやけに静かだな。」
先生は不思議そうに出席簿を付けていた。
「うさぎちゃん…どうしたんだろ…なんかあったのかな…?」
「喧嘩でもしたんじゃない?」
心配する美奈子と、どうでもいい夜天。
「珍しいですね、月野さんが怒るなんて。」
「うん、滅多に怒鳴ったりしないのに……」
大気とまことは険悪な2人を見ながら、2人の様子を気にしていた。
ーなんだよ、俺がなにしたんだよ…!!!−
やり切れない星野は机の上で拳を握り締めていた。
ーこのままじゃ、納得できない…
絶対、聞き出してやる!!!−