novel
□crazy for you(前編)
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「セイ…ヤ」
「ばかだな…おだんごは…本当、何にもわかってないよ。」
星野はフッと笑いながら、うさぎに歩み寄った。
「ば、バカってなによ!!何にもわかってないのはそっ…」
まだうさぎが言い終わる前に、星野はうさぎを抱き寄せ、唇を奪った。
「んっ………!!」
ドラマよりも長く、
今まで感じたことのない熱い星野のキス。
うさぎは息が出来なかった。
「ん………はぁっ……」
やっと唇を離され、うさぎはびっくりして星野を見上げた。
「せ…セイヤ…?」
「俺も嫌だよ。好きでもないやつとキスするなんて…。おだんごじゃなきゃ嫌だ。」
「え…///」
うさぎの顔はみるみるうちに紅くなっていく。
星野はうさぎに顔を近づけ、真剣な表情をした。
「おだんごじゃなきゃ、俺は本気(マジ)にならない。」
「セイヤ…////!」
「お前以外とじゃ感じない。」
うさぎは星野に抱き寄せられながら、口を開いた。
「ほ、本当なの…?」
うさぎは自分の胸の高鳴りを手で抑えつつ、星野の目を見て聞いた。
「うん。…だからこれだけは聞いて・・・」
星野はうさぎと鼻の頭と頭をくっつけて、囁いた。
「おだんごが好きだ」
うさぎは目を丸くし、時が止まってしまったかのように、体が動かなかった。
「おだんご…?」
うさぎは体の力が抜け、立っていられなくなり、星野に寄りかかって体を預けていた。
「大丈夫か?」
「ごめ・・・なんか、足がフラフラして…うまく立てない…」
うさぎはその場に座り込んだ。
「セイヤ…」
星野はしゃがんで、うさぎと目線を合わせた。
「ん……?」
「ぁ…あ、あたし…」
だが、うさぎは言葉が出てこない。
「あたし……」
うさぎは拳を握り締め、なんとか次の言葉を言おうとしているが、やはり出てこない。
そんなうさぎを見て星野はうさぎの肩を支えた。
「いいよ…おだんご…」
「えっ…」
「すぐ返事くれなくていいから。…それに、こんな事言うの悔しいけど、お前には衛さんのこともあるし、俺は待つよ。」
うさぎに優しく微笑みかける星野。
「セイヤ、でも…」
「俺達、まだ知り合ったばかりなんだ。俺…、おだんごに俺のこともっと知ってほしい。」
うさぎは真剣に星野の話を聞いていた。
「それともおだんごは……俺のこと、知りたくない…?」
「知りたいよ…もっと、いろんな表情したセイヤが見たい…///」
顔を紅く染めて、真っ直ぐ星野を見るうさぎに、星野は笑って立ち上がった。
「俺達、そこから始めてもいいんじゃないか?」
うさぎは星野を見上げる。
「呼び出してごめんな、ありがとう、おだんご。気をつけて帰れよ!!じゃあ俺仕事あるから、じゃな!!」
「ぁ、…うん、バイバイ!」
うさぎは立ち上がって手を振り、星野は教室から出て行った。
誰もいなくなった教室にまた座り込むうさぎ。
ーおだんごが好きだー
星野の声が蘇る。