novel

□call me…
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「どうしたの?なんか用とか…」


「いや、用っていうか、用はないんだけど、休憩もらったからさ、おだんごの声が聞きたくて」

「えっ…」

「聞きたくてどうしようもなくて、ちょっとだけ抜けてきた」


嬉しくて、嬉しくて…なんてしゃべっていいかわからなくなった。


「あ、あたしも…声…聞きたかった。ずっと…星野の声聞きたかった。」

「……」

「なんで黙るのよ」

「…どうした、おだんご。なんかやけに素直だな」

「だって、会ってないから…なんかこのまま…星野と会えなくなっちゃうんじゃないかとか思って…そしたらなんか…寂しくなっちゃって」


普段恥ずかしくて言えない言葉がなんだか素直に出てきた。


溜まっていた気持ちを吐き出すように。


「そんなこと…あるわけねぇじゃん」

「なによぉ!星野は…」

「ごめん」

星野はうさぎの言葉を切った。


「ごめんな。おだんごに寂しい思いさせたくないのに…させちまってるな。」

電話越しにうさぎが肩を震わせていたのがわかった。


「おだんご」

「…え?」

「俺さ、携帯変えたんだ。」

「…うん?そうなんだ?」



…いきなりなんの話?

うさぎの頭に?マークが浮かぶ。



「だから、今、着信履歴、カラなんだよ」

「…はぁ…」



「おだんごの名前でさ、埋めたいんだけど」


「…」

「黙るなよ(笑)」

「うん」

「なかなか出れねぇかもしれないけどさ、毎日でもおだんごの声聞いてたい。」

「うん…」

「早く…おだんごに会いたい」

「うん…」

「なんで「うん」しか言わねぇんだよ」

「あは…ごめん//…じゃあもっと電話しちゃおっかな。」

「おう」


びっくりした。ときどき星野はドラマの台詞のような言葉でわたしの思考を停止させる。

火照った頬を冷やそうと手で覆った。


「なんか星野って言葉がキザだよね」

「んなことねぇよ」

「ほかの子にも言ってたりして」

「おまえなぁ!」



久しぶりに笑い合った。なんでもない会話が…幸せに思える。


「おだんご、夜空見てみろよ」

言われた通り、カーテンを開けて見上げた。



「あ…満月…」


星野も同じ満月を見ているんだ…



「離れてても、繋がってるよ」

「うん」




どうか…このままずっと…

ずっと…

ずっと…


わたしたちを見守っていて、お月様…ー
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