*SHORT STORY*
□Mother
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この日、アンナは1人
森の中を歩いていた
まっすぐ静かに
葉がいる宿にむかって
ザワッ────……
突如
木々が騒ぎだした
アンナは足をとめた
「何の用、ハオ」
『別に。ただの散歩だよ』
アンナの後ろには
麻倉の宿敵である
ハオが立っていた
「消えて」
アンナは振り返らず
この一言だけ言うと
逃げるように
この場を去ろうとした
ハオに会って良いことが起こったことなど無いのだから───……
『アンナ、君には何がある??』
しかし、アンナはハオのこの一言で立ち止まってしまった
『仲間、友達、夢、夫、家族、家いっぱいあるよね…』
「何……言ってんのよ」
今までとは、どこか違うハオにアンナは少し戸惑っていた
『僕にはね…何もないんだ。
仲間なんて形だけ、
友達なんてできない、
夢は見飽きた、
家族もいない………もぅ生きる希望さえも無くなりかけてるんだ』
ハオは空を見上げ独り言の様に話し出した
「ハ…オ…??」
ハオは上を向いていた顔をアンナの方に向けた