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□体育館の対決
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昼前の体育館の真ん中で二人の少年が睨み合っていた。
二人は体操服の上からそれぞれ違う色のゼッケンを着け、床に置かれた一個のバスケットボールを挟んで立っていた。

「今回は、勝たせていただきますよ。」

先に口を開いたのは青磁色の髪をした少年の方だった。

平弘盛、二年一組の学級委員にして支配者。紳士ぜんとした態度で熱を上げている女子も多い。

「今回も、俺が勝つ。」

その後に背の高い黒髪の少年が答える。

源雅頼、二年二組の学級委員にして実力者。分け隔てない親分肌で彼を慕う後輩は数え切れない。

この二人は事ある毎に衝突し、今回は一二組合同の体育の時間に争いが勃発した。

「ルールは簡単に1on1といこうぜ。」

源は床のボールを拾い上げて指先に乗せてくるくると回してみせた。

「いいでしょう。では審判は公平に鳥羽先生にお願いしましょう。構いませんね?」

平はそう言って振り返った。その視線の先には困った顔をした鳥羽が立っていた。

「審判くらいやっても構わんが、今は授業中だ。やるんなら昼休みにやれ。」

教師として当然の発言に生徒全体からブーイングが起こった。

「なんだその態度は。そんなことしてる暇があったらシュートの練習でもやれ!」

生徒たちはしぶしぶといった体でボールを持って体育館に散っていった。
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