オリジナル部屋。

□FATHER or BROTHER ?3
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調子が悪いのは朝からわかってた。

でも、学校を休むわけにはいかなかった。


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「こんな熱で、どうして学校に来たの?」
「朝はそうでもなかっ…」
「調子が悪いと思ったら、体育ぐらい休みなさい。」
俺は三時間目の体育の時間にぶっ倒れた。
速攻で保健室に連れていかれ、熱を測ったところ、
38.9度
俺はベッドに押し込まれ、給食も食べずに迎えを待っている。
「大丈夫か?」
休み時間に見舞いに来たのは同じクラスで俺の悪友の宮川修平。バスケ部の次期部長で、嘘を吐かなくていい数少ない友人の一人。
「大丈夫だったらこうはなってないだろ。」
からかいに来たのかお前は。
「そりゃそうか。親父さん迎えに来んのか?」
「多分な。」
来ても遅い時間になるのは確かだろう。
「なんで?」
「今日は大事な会議があるって言ってた。」
部長不在で会議は出来ないだろうからな。
「それで無理して学校来たわけか?親父思いなのはいいけど、このざまじゃな。」
修平はやれやれといった感じで肩を竦めた。
「うるせー。」
休んだら休んだで面倒なんだよ。

キーンコーンカーンコーン

「予鈴なってる。」
「わかってるよ。じゃあな。ちゃんと休めよ。」
「わかってる。」
修平は後ろ向きに手を振りながら出て行った。
さっきの訪問で沈んだ感じの気持ちは消えたが、だるさは増した気がするのは何故だ。
「まぁ、いっか。」
小さめに呟いて布団を引き上げる。
帰るまではまだまだ時間がある。もう一眠りすることにしよう。

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「…ん?」
揺れてる?
「起きたか?全く、熱があるのにどうして学校に行った?」
うっすらと目開けると景色が次々と流れていくのが見えた。
車の中か…
「…父さん?」
「違って欲しかったのか?」
未だはっきりしない頭で聞いてみると、冗談混じりに返される。
「よく寝ていたから起こさなかったが、よかったか?」
「うん。」
修平にはもうさよなら言ったし、給食食べれなかったのはちょっと悲しいけど我慢すべきだろう。
「帰ったらすぐに寝るんだぞ。」
「うん。」
素直に頷きはしたが、父さんの話し声がいつになく優しく(まぁ、そこは当然だが)そしていつになく楽しそうなのが気になった。
そしてさらに、こういう時はあまり俺にとっていいことが起こったためしがない。

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そうこうしているうちに車は玄関前に到着してしまった。
「ほら、着いた。起きてるか?」
「…起きてる。」
あまり早く動くと頭が痛いのでゆっくり車から降りると、
いきなり視界が反転した。
「あ、ちょっとちょっと!!!」
理由は簡単。父さんが俺を持ち上げた。
俗に言う‘お姫様抱っこ’だ。
今更ながら俺の家族は思考が全く読めない。
「その状態で階段を上がるのは大変だろう?」
いやいや、大丈夫だから…。
「自分で歩く。」
「熱があるんだからあんまり動いちゃダメだろ?」
部屋までぐらい大丈夫の範囲だろ…。普通。
とはいえ、暴れても反論しても無駄なのは分かり切っているので、不本意だが仕方なく大人しくしていることにした。

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なんだかいつもより長く感じる階段を登りきり、ようやく俺達は俺の部屋に辿り着いた。
「いいか、漫画なんか読んだりしないでちゃんと寝るんだぞ。」
父さんはまるで小学生に言い聞かせるように言った。
「わかってるよ、そんなの。」
もう14なんだからそんな心配いらないっての。
「そっか。じゃあおやすみ。」

― チュッ ―

「なっ!」
あまりの出来事に俺は額を押さえて驚くしかなかった。
「よい夢をね。」
当の父さんはそんな俺をよそにさっさと部屋を出ていった。
「いっ、いい年して下らねぇことやってんじゃねぇっ!!!」
顔が熱いのは絶対熱の所為だ。

…絶対そうだ。

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