光の女神伝説

□Turnー13
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 午後の授業も終わり生徒達が帰り始めたころ合いを見計らい、ひかるは獏良を屋上へと呼んだ。



「話って何?ひかるちゃん」
「…あの…この間の事なんだけど」
「うん」
「遊戯君の千年パズルが盗まれたあの日、わたし倒れたらしくて…あなたが保健室に運んでくれたって聞いたんだけど…」
「え?僕が…?」
「違う…の?」
「う〜ん…よく覚えてないなぁ…」
「そっか…」

 ひかるは彼から離れ、空を見上げた。

「人違い…だったのかな…ごめんね、変な事聞いて…」
「え、ううん…あ、じゃあ僕はこれで…」
「あ、うん…また明日」
「また明日…」

 そう言って獏良は少し急ぎ足で屋上から出で行った。

「……」


 それを見送り、彼女は深くため息をついた。


「先生が見間違うわけないし…」
《もしかして、バクラ…?》
「かもしれない、だけどそうすると一つ解らない事が…」
《?》
「どうしてバクラはこれを持ち去らなかったのかな…」

 胸元からペンダント状の千年杖を取り出して眺めた。

《そういえば…なんでだろう》
「絶好のチャンスだったハズなのに、どうしてだろう…他に理由なんて思いつかないし」
《何か企んでいるのかも…ひかるに持たしておいた方が都合がいい、とか…》
「ん〜〜」

 考えているところへ扉の開く音が聞こえ、反射的に振り返る。



「あ…遊戯君」

「!ここにいたんだ」
「もしかしてわたしを探してた?」
「うん」

 遊戯はそう答え、ひかるの隣に並びフェンスへと寄りかかった。




「あのさ…」
「ん…?」
「今度のお休みってあいてる?」
「休み…?んー、特に予定はないけど」
「…じゃあちょっとお願いがあるんだけど」
「何?」
「その…もう一人のボクを外に連れ出してくれないかな…って」
「え?」

 驚く彼女を遊戯はまっすぐ見据え、続ける。

「あの日…一度パズルを砕かれちゃった日から…元気なくて…」
「え…!?砕…かれた…?」
「うん…ボクが…不用意にパズルを外したから…」
「でも…」

 ひかるは彼の胸元に輝く黄金のそれを見つめた。

「大丈夫…ちゃんといるよ、また…組み上げたから」
「……」
「ひかるちゃん?」
「え?」
「どうしたの?」
「あ…な、なんでもない…(もしかして…あの時の…)」

 右手をパズルへと持っていき、そっと触れる。


「…(いる…ちゃんと…ここに)」
「あのさ…」
「ん?」
「ずっと気になっていたんだけど…君は…一体…?どうして君は…」
「…ごめんなさい、それ以上は…いずれちゃんと…あなたには…話します…」
「…わかった、ひかるちゃんが話してくれるまで…聞かない…」
「ごめん…ありがとう」
「それでさっきの話なんだけど…」
「あ…わたしで良ければ…元気になるかはわからないけど」
「ありがとう、大丈夫、きっと君の顔みれば…」
「えっ?」
「あ、じゃあ10時に時計塔広場で!」


 それを告げると遊戯は走って扉の向こうへと消えた。


「……」


 静かに見送ると、空を見上げた。


「…何か関係しているの?パズルが砕かれたのと…あの時の…痛みは…」





(声が出なかった…まるで誰かに押さえつけられてるような…胸の奥が…締め付けられるかのような…)






「…前にも…一度…」










『いや…ファラオ…いかないで…わたしを…わたしを独りに…しないで…』





――ズキンッ!!




「っ!!また…だ…わたし…」
《今日は帰って休んだ方がいいよ…ねっ?》
「う…ん」
《ほら、しっかりして!運んであげようか?》
「大丈夫…ありがとシャイン」






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