光の女神伝説

□Turn-1
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―ジリジリジリーー

 朝日がわずかに差し込む小さな部屋に、けたたましく鳴り響く、目覚ましの音。

「…ん〜〜…」

 小さく唸り声が聞こえ、包まっていた布から手を伸ばし、音を止めるのはこの家の主、ひかる。

「…眠い…」

 ポソリと呟きもそもそと起き上がる。
 ベットに腰掛け両手を伸ばし、ぼーっとカーテン越しに外を眺める。

「…今日、からか…うん、大丈夫!」

 立ち上がり、もう一度軽く体を伸ばし、窓に向かいカーテンを開け放つ。
 部屋いっぱいに差し込んでくる光を片手で軽く遮りながらベランダへと出た。

《おはよう、ひかる》

 すっ、と彼女の傍らに半透明の人物が現れる。
 見える人には見える"カードの精霊"と言う存在だ。

「シャイン、おはよう」
《どう?気分は…まだ緊張してる?》
「少し…でも大丈夫!!頑張るわ」
《そう、ほら!仕度しないと間に合わなくなるよ?》

 シャインに言われ、今何時と言いながら、ひかるはベットに置いてある時計を確認する。
 時計の針は6時10分、彼女はほっと胸を撫で下ろし、ベランダへと向きを変える。

「こらーシャイン!脅かさないでよ」
《え〜だってさー…ま、いいか》

 ふふふっと笑いながらその姿を消すシャイン、カードに戻ったのである。
 気配が無くなったのを感じさっきまでシャインがいた場所に目を向ける。

「なんだ、戻ったのか…」

 少し寂しそうに呟き、ワンピース風なパジャマを脱ぎ、ピンクが特徴の童実野高校の制服に手を伸ばす。
 机から鞄とカードの束を取り部屋を出る。























童実野高校―一年B組

「え〜今日からこのクラスの仲間になる、神風 ひかるだ、仲良くな」

 朝のホームルーム、B組担任の教師が転校生としてやってきたひかるを紹介している。

「よろしくお願いします」

 ぺコリと軽く頭を下げ彼女は挨拶をした。
 クラスからは『かわいい』や『おぉーっ』などと声が上がる。

「じゃあ神風は…武藤の隣が空いているからそこだな」
「あ、はいっ!!」

 名を呼ばれた男子生徒が慌てて立ち上がる。
 ひかるはその生徒に目を向け、ゆっくりと歩いていった。

「えと…よろしくね」

 彼女が席に座るのを待ち、彼は声をかけた。

「うん、よろしくね!武藤君」

 ニコリと笑いながら答えるひかる、彼は薄っすらと頬を赤らめる。

 「――これにてホームルームは終了だ、授業に遅れるなよ!」

 そういい残し、担任の教師は教室から出て行った。




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