光の女神伝説

□Turnー7
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 ペガサスに連れられ城へと入る…途中の分かれた廊下で男がモクバをどこかへと連れて行く。


「ちょっ…!モクバ君をどうする気!?」
「オー、モクバボーイとユーは初対面なのに彼の心配をするのですか?」
「あなたのやり方が気に入らないのよ!あんな小さな子を!!」
「…心配はいりまセーン、この大会が終わったその時にはちゃんと解放しマース」
「…本当?」
「イエース」
「…ウソだったら承知しないわよ」
「ウソはいいません」


 
 そして彼女は豪華な一室へ通された。


「…(うわあ…)」
「気に入っていただけましたか?」
「…豪華すぎで居心地悪い」

 素直にそう答えるひかるに彼は少し肩をすくめた。そしてソファーへ座るよう彼女を促し、自分も腰かけた。

 メイド服を着た女性がテーブルへと紅茶とクッキーを置き、深く頭を下げ、出ていく。


「…あなたも持っているのよね、千年アイテムを」
「イエス」

 ペガサスは長い髪で隠れた左目を彼女に見せた。

「!!」
「驚くのも当然ですね…」
「…どこでそれを?」
「十年以上前…エジプトの地を訪れた時に…」
「…」
「エジプト独特の衣装を身にまとった少年から…」
「!(独特の衣装…!?まさか…)何故、エジプトへ?」
「…これを」

 ペガサスは1枚のカードを手渡した。

「これは…」
「かつてのわたしの恋人…シンディアです」
「!!恋…人?」
「えぇ、エジプトでは古代より、死者の魂はいずれ甦るとされてきました…その話を聞いたわたしはエジプトへと向かったのです」
「死者…じゃあこの人は…」
「…すでにこの世には…いません」
「………」

 ペガサスは静かに語りだした、シンディアとの出会い、夢を語り合ったこと、将来を誓い合ったことを…。



「しかしわたしが17になった時、彼女は病によって亡くなってしまいました」
「あ…」

 ひかるはカードを返す…ペガサスは丁寧にそれをしまう。


「彼女を失った悲しみを癒すためにわたしはエジプトへ、そしてある村で少年とであったのです」
「ある村…?」
「かなり荒れ果てた村でした」
「…(クル・エルナ村…)」

「少年は『所有者として千年アイテムに認められれば願いをひとつ叶える』と」
「それで千年アイテムを…?」
「イエス」
「…恋人に、会うために…か」


 
 ひかるはテーブルに置かれた紅茶に目をやり、口に運んだ。

「ひかるガール、ユーは何故千年アイテムを集めているのですか?」
「!…それは」
「どうしても必要なものならば…この大会が終わった後でミーのこの千年眼は差し上げマース」
「!!……わたしにとって、大切な人のために、必要なの…だから」
「…ユーもわたしと同じなのですね…」

 ペガサスは立ち上がると窓に向う、ひかるも彼の少し後ろに立ち、その背中を見つめた。

「わたしがこの大会を主催したのは、KCを手に入れるため…」
「モクバ君も言っていたけど…どうしてあなたが…」
「KCのバーチャル・シュミレーション・システムの技術を手に入れるため…」
「…!それって、デュエル・モンスターズを実体化させているシステム?」
「その通りです」
「!!まさかそれでシンディアさんを…?」
「…わたしはもう一度会いたいのです、彼女に」
「でも…それは…」

 『本物ではない』、そう言いかけて彼女は黙り込んだ。


「そのためにモクバ君を…?そんなの!」
「…ユーがそう言いだすのはわかっていました」
「!…え…っ!!」

 ひかるは突然のめまいに膝を折った。

(まさか…さっきの紅茶…く…油断…した)



 倒れこむ彼女をペガサスは受けとめ、ソファーへと寝かせた。

「…ソーリー、ひかるガール…しかし、誰にも邪魔をされるわけにはいかない…ユーの持つ…精霊を操る力…」

 眠るひかるの顔を眺め…胸元の千年杖へそっと触れる。

「…力を感じマース…強い、希望に満ちた力」


 ペガサスはひかるから離れ、数人のメイドを部屋へ呼び寄せた。


「レディをお部屋に、起こさないように…」









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