虹色の勇者−テレジア編

□fate-1
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〜ドープルーン・密林〜



「ストーン・ブラスト!!…ふぅ…最近魔物の数が増えているな…」
『そうですね…"蝕むモノ"の影響なんですかね…』
「おそらくはな……ん?」
『坊ちゃん、どうかしましたか?』

 坊ちゃんと呼ばれた黒髪の少年は木々が生い茂る森の奥へ目を向けた。

「なんだ…?あれは…」
『また魔物…かもしれませんね』

 霧が立ち込める中、ぼんやり光っている場所へ誘われるように少年は歩を進めた。








「!?…こいつは…」

 開けた場所に出た少年、その瞳に一人の少女の姿が写る。

 少年は腰の剣を抜き少女の首筋へ突き付けた。

「…おい」

 殺気を込め声をかける、しかし反応はない、それがわかると少年はため息をつき、剣をおさめた。

「なぜ…こんなところに…」
『坊ちゃん…この子…』
「いや、ありえん…」
『でも………と、とりあえず、ギルドへ戻りましょうよ』
「…そうだな」

 少年は軽々少女を抱え上げるとその場を後にした。



〜ドープルーン・ギルド〜



「あ、お帰りなさいませリオンさん…そちらは?」
「密林で見つけた…何者かは知らん、フィリア、後は頼む」

 少年−リオンはギルド内の椅子へ少女を下ろす、眼鏡をかけたおさげの少女フィリアが駆け寄り様子を伺う。

「特に怪我はありませんね…リオンさん、どの辺りで見つけたのですか?」
「…依頼の帰りだったから、2層目の辺りだったな…それがどうかしたのか?」
「いえ…もしかしたらアイリリーからの難民ではないかと思いまして」
「アイリリーか…」

 リオンは壁に寄り掛かり腕を組んだ。

『あの街は確か"ガンゼル"って奴が封鎖しているんでしたね』
「ええ…理由はよくわかりませんが」
「何か企んでいるとしか思えないが…」

「どうかしたのかね?」
「!ウッドロウさん」

 声がした方へ顔を向けるフィリア、青い鎧を着た青年−ウッドロウはリオンの姿を見つけると彼に歩み寄る。

「ごくろうだった、リオンくん」
「ああ…」
「おや…?この少女は?」
「密林で見つけた…そのままにしておくわけにもいかないから連れて来た、何者かはわからない」
「フム…」
「特に怪我は無いようなので目が覚めてからご本人に伺うしかありませんね」
「…なら、後は任せた…」
「あっ!リオンさんっ!?」


 引き止めるフィリア、しかしリオンは無言でギルドを出ていった…。






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