Vampire can't cry ブック
□X.
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「…フォー」
「シックス?」
「フォーが…泣いとる」
使い古されたくまのぬいぐるみを抱き抱えるセティエームはシックスの言葉に目を見開く
確かに自分の頭の中にフォーの声がしっかりと響いたから…
「どうしようシックス…!」
「落ち着きいセティ」
「落ち着いてらんないよ!フォーが…フォーがっ」
セティエームが取り乱し頭をかかえその場にしゃがみ込むと手からすべり落ちたくまのぬいぐるみが音も立てずに地面に落ちた
肩を震わせ戸惑いを隠せないセティエームをシックスは抱き上げ、立ち上がらせるとゆっくりと言い聞かせる様に喋りかける
「セティ…フォーは大丈夫や。あの子はバレる様なヘマはせえへん。なぁ、フォーをほんまに信じてやれるんは俺たちだけやんか?なら俺たちは俺たちでやらないかん事をしてフォーを待たなあかんねん」
「分かってる…分かってるけど…」
「分かっとるんならフォーを信じてやるんも俺らの仕事や」
地面に落ちてしまったくまのぬいぐるみを拾いあげ埃を払ってやるとそのままセティエームの腕の中へ帰してやる
ぬいぐるみの感触を確かめる様に頬にぬいぐるみを当てると目を瞑った
「…フォーの匂いがする…」
落ち着いたセティエームを見て笑みを浮かべシックスはそっと空を仰いだ
セティエームもシックスにつられゆっくりと空を見上げる
「そろそろ下の世界に降りる準備進めななぁ」
早く逢いたいねん
うん、早く逢いたい…
「「…フォー…」」