Vampire can't cry ブック

□U.
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「…わかりました学え…カインちゃん…」



「はーいジブリールは良い子だね!」


ニパッと笑いジブリールの頭をぐしゃぐしゃと撫でてくるのは魔都ガーデニアの最奥にそびえ建つ千年学園の学園長カイン・ヴァン・エンヴリオである

何故学園長である彼を‘ちゃん’付けで呼んでいるかと言うと、2人きりの時はカインちゃんと呼ばないと入学させないと、言う笑顔の脅迫のものと言える

このままではいつまでも撫で続けるに違いない、そして話が進まなくなる事がなんとなく分かると撫で続けてくる手をそっと手でいなした

すると、突然扉の向こうから悲鳴が聞こえ肩が跳ねた




「…ッ」

威嚇するように扉を睨みつけると、学園長はクスリと笑った

「大丈夫だ、警戒しなくても。多分私の息子が“お痛”をしたんだよ」


ケラケラと笑う学園長に視線を戻す
その様子から問題ない事を察し、強張らせていた体から力を抜いた



「…息子…様ですか?」


「そうだよ、息子。意外かな?」


「……意外……」


そう、意外だった。
若く見える故に子供がいるとは思わなかったのだ

「…とっても…意外、です」

こんな自由奔放そうな奴に子育てなんて不可能なんじゃないかと失礼なことを思いながらスッっと床に視線を落とした


しばらくの沈黙の後、頭上から視線を感じることに気がついた
顔を上げるとニコニコとジブリールを見下ろしてくる学園長と視線が合った
ジブリールより遥かに身長が高い学園長の顔を見るにはなかなか首が辛い
だが視線を外す訳にもいかずそのまま何も喋らず視線を合わせていた



「……………」

「……………」

「………か…」

「…………?」


「…可愛い…!!フォーちゃん可愛いよ!流石私の娘だ!」

二パーっと笑い叫びながら抱きついてくる学園長

苦しい…

軽く顔を歪めるが、嫌な苦しさではなかった





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