Vampire can't cry ブック
□W.
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「ねぇフォー大丈夫?」
「…え…?あ…うん大丈夫」
後ろの席から心配そうに声を掛けてきた小太刀に答えると安心したのか机から乗り出した体を元に戻した
昨日倒れてしまった事で小太刀やリドヴィナは今まで以上に声をかけてくる回数が増えた
“友達”として心配してくれているのだろうか…
「…フゥ…」
後ろの席の小太刀に気付かれない様に溜め息つく
これ以上関わらない様にしなければ…これ以上関わってしまうときっと離れられなくなってしまう
「(困った…な…)」
昔からそうだ…
ほんの少し情が移っただけで死にかけた事が多々あった
自分の故郷は地上より扉〈ゲート〉で閉ざされた都
地上から閉ざされた故に満足な食事など出来ず餓えと恐怖に発狂し共食いをし始め、そんな狂った中で弱い者は殺されていった
狂気に満ちた中で仲良くなった同い年ぐらいの女の子
仲良くなりふたりが生きる為毎日を乗り切ってきたある日彼女に私は殺されかけた
でも私が生き残る為には己が彼女に手を掛けなければ…
そ
う
私
が
生
き
残
る
為
に
は
・
・
・
気がついたら目の前には友達と言える存在だった彼女の血まみれの死体
自分の手は彼女の血で赤くなっている
私は彼女を抱き締めそのまま首筋に歯を立てた
その日は1日中泣いた覚えがある。そのすぐあとだったか…あの2人に出会ったのは…
それから私は2人以外大切な人を作らないと誓った
そして2人には何があっても手を出さない…誰にも手は出させないと決めた
「……##NAME3##…!…フォー!」
「え?」
「フォー大丈夫…?」
顔を上げると小太刀のアップ
「…授業…は?」
「とっくの昔に終わってるぜ」
振り向くと後ろにはアルドレッドがいた
「調子悪いのフォー?」
「ううん…心配かけてごめん…大丈夫…皆も…ごめん」
「なーに言ってんだフォー!お前はこの6班の一員だろ?気にすんな!」
ぐしゃぐしゃっと撫でてくるアルドレッドはにかっと笑い、フォーの腕を掴み立ち上がらせるとそのまま歩き出した
「飯食いに行くぞ!フェイとリディが待ってる」
「あ…うん」
「ちょっと置いて行かないでよ!」
置いてけぼりを食らっていた小太刀は走ってきてアルドレッドが掴んでいない方の手を握りフォーに微笑みながら食堂への道を歩いた