Vampire can't cry ブック

□T.
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「門<ゲート>が開いたらずっと一緒にいられるんだよね…?離ればなれになんてならなくていいんだよね…?」


「うん…」


「俺らがバラバラにならんでえぇ様に開けないかんのや」












「「「3人一緒に居る為に…」」」










消え入るように呟いた3人の言葉は重なり、夜に響いた






























「シックスー…セティエームー……行ってきます…」



「…やっぱり…行かないでよジブリール…」


「セティエーム…」


「………行かないで…ッ」


「セティエーム…門<ゲート>が開けばずっと一緒にいられるから…。…寂しいけど私も我慢する、だから…セティエームも一緒に我慢しよ…?」



自分より身長の高いセティエームの頭を撫でる
さっきまで泣きそうな顔をしていたセティエームは目尻を下げ微笑みジブリールの頬に軽く口付けた

「分かった…イイ子で待ってるから」

そう言うと後ろで手を組み、クルリと回りながらジブリールとの距離をあける
すると横から寂しそうに笑うシックスが覗き込んできた


「ジブリール無理はあかんで」


「大丈夫、だよシックス」


大丈夫、と泣きそうな顔で笑うジブリールを苦しいぐらい抱き締めると小さく唸る声がシックスの耳に入った
息が詰まりそうなほど苦しい抱擁もジブリールにとっては至福だった
目を細めうっとりと微笑むジブリールの細い腕がシックスの腰に手を回る




「あぁーシックスずるい僕も!」

甘い雰囲気に似つかわしいその声が上がった瞬間、ドンっと背中に衝撃がきた
セティエームが背中に抱き付いてきたのだ
シックスとセティエームに挟まれサンドウィッチ状態にジブリールは心から嬉しそうに微笑んだ











「…今度こそ…行って来ます」


「気を付けるんやで」


「……行ってらっしゃい……」


2人に背を向け歩いて行くもやはり足が重い
なかなか先に進めず何度も後ろを振り返った

1回、2回、3回…
何度振り返っても2人はじっと背中を見ていてくれている
泣き出しそうな顔をしているセティエームは今にも走り出しこちらに来てしまいそうだ
そんなセティエームの傍では辛そうに眉を寄せるシックスがいる

「(そんな顔しないで…セティエーム)」



悲しくなっちゃうじゃない、


「(シックス…シックス…ッ)」


離れるのがこんなに辛いなんて、



2人の顔が頭に焼き付いて離れない

軽く頭を横に振り、前を見据える


そう、全ては3人が幸せになる為に。

「行って…きます…」

そう呟くと、ゆっくりと歩み出した































「もう見えなくなっちゃった…」


「せやな…」


お互い小さく呟く
項垂れるセティエームの横でシックスはジブリールが歩いて行った方向をいつまでも見つめていた



「ジブリールが頑張ってるんやから…俺達もやらないかん事せな」

「うん…全ては僕達の為に…」


踵を返し振り向くまいとセティエームは首を振った


そんなセティエームをシックスは頭を撫でてやる事しかできなかった






別々の道を行く者達
だが皆想う事はただ一つ

全ては3人の為に。





Next…U



2008.02.11 初書き
2012.07.04 書き直し 


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