おお振りBL小説
□茜色の約束(前編)
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水谷と距離を置いて1週間…オレの体調も回復に向かっていた。
でも、体調と反比例するようにオレのなかのモヤモヤが広がっていた。
オレは今になって水谷のメールを読み返したり、想い出の品々を何度も手に取ったりした。
オレ…何であんなコト言ったんだろう?
体調的にも余裕が出てきた今、冷静に考えてみると後悔ばかりしか残っていなかった。
体調が良くなればなるほど、後悔の気持ちは大きくなっていった。
できれば、距離を置くなんて言ったコトを撤回したい…
オレは、今の気持ちをまた水谷にぶつけようと思い、水谷に電話をした。
「あっ、水谷?」
「どうしたんだ?」
「あのさぁ…」
オレは思ってるコトを全部ぶちまけた。
「……栄口?よく聞いてくれ…前も言ったけど、今のオレは栄口をちゃんと愛せる自信がないんだ… お前はちゃんと向き合う自信ができたんだろうけど、オレには…まだその備えができていない。だから、今すぐ元に戻るのはムリだよ… どれくらい掛かるかわからないけど…もし、栄口が待っていてくれるのであれば、オレは栄口の所に戻りたいと思ってる。」
「どれくらいって?」
「それこそわからない… 数ケ月かもしれないし、数年かもしれないし… もしかしたら…ずっとかもしれないし… だから、栄口もムリに待ってる必要はないよ… オレなんかより良いヤツ、他にもいるかもしれないしさ!もしオレが自信を持って、その時栄口にとって大切が人がいなかったら…オレは迎えに行くよ。」
オレは涙が止まらなかった。
「みずたに…ヒクッ…オレは、みずたにが…ヒクッ…大好きだから…ヒクッ…待つ…ヒクッ…あんなこと言って…ヒクッ…すごい後悔してるから…ヒクッ」
「ゴメンね…栄口…」
「みずたに…ヒクッ…今度の日時日…ヒクッ…遊びたい…ヒクッ…もしかしたら最後かもしれないし…デートしたい…ヒクッ…」
しばらく電話からは何も聞こえなくなった。
水谷は考えているみたいだ…
「…そうだなっ…わかった。」
こうしてオレらは今度の日曜にデートすることになった。