□誕生
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由美は笑ったが、真実本人には笑えない。

まったく、今日は自分の誕生日で朝起きてから夜寝るまで幸せな気分で終わる日じゃないのか。


「駒形」

「はい?」

「マジでないの?」

「・・・欲しいですか?」

「欲しい・・・よな、普通はよ。な、宗次郎」

「僕はプレゼントよりも俄然、現金派です。「お前はそういつ奴だったよな。うん」

「駒形先輩だから絶対に何か用意してる気がしてました。」

「用意はしたけどね」

「マジで!?」

「用意だけですよ。」


用意はしたが今日はない。らしい。

用意されているだけでもありがたいと思おう。

真実は黙々と部屋を片付けた。


「・・・志々雄先輩。」

「何?」

「お誕生日おめでとうございます。はい。」

「?」

「京都で有名な洋菓子店のクッキーです。母がもらったらしいんですけど。」

「・・・ありがとう」


もしかして、これ?

と、由美の鞄から出てきた若干粉々のクッキーを見る。


「それじゃないですから。明らかに残念な顔されると何かしないとって思うじゃないですか。」

「俺、そんな顔してた。」

「「はい」」


後輩二人は力強く頷いた。


「マジでか。」









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