裏
□初恋の君
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おもしろい事は好きです。
どんなのってのは、ないんですけど。
おもしろいな〜って言うのはたくさんあります。
そうですね。
例えば、
「やめてください!!!」
「うるせぇっ!!金が用意できてないなら、体でも売れや!!!」
「いやぁ!!誰か!!!」
「めんどうだから、足切るか?足なんてあってもなくても同じだろ」
「お願いします。お願いします!!!それはっ・・・いやっ!!!」
と、まぁ借金の形に身売りに出されていく女とそれを引っ張る男のやり取りって言うのはおもしろいと思います。
泣き顔だったり、あんな女一人なのに男が四人で寄ってたかっているあたり。
僕は好きです。
それを眺めならが飲むお茶は美味しいですし。
「何見てんだ。」
「あの女。足切られましたよ。志々雄さん食べます?」
「俺は別に人の肉は好きじゃねーぞ」
「またまた。そんな事いって、火傷には生肉がいいなんていって全身人の肉引っ付けてたの誰ですか?」
「お前が嫌がる俺に無理やり貼り付けたんだろ。」
「ふふっ。楽しかったです。」
嫌がる志々雄さんも見てて飽きなかったけど、肉を剥がれる度に悲鳴を上げていた明治のお役人さんもおもしろかった。
なかなかの暇つぶしだった。
「餓鬼が。いつか全部返ってくるぞ」
「因果応報でしたっけ?」
「それだ。」
「いいんじゃないんですか。楽しそう。」
「させるのは嫌いなくせによく言うよな。」
「・・・」
図星を指されて面白くはない。
むすっとしたまま、泊まっていた宿の窓から顔を出した。
下には紅いものが続いている。
それを目で辿れば、曲がり角まで続いていた。
「・・・ちょっと出かけます」
「いいが、土産は酒だぞ。いいな。」
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