短
□嘘吐
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「知ってましたか?志々雄さん。今日はいつもお世話してくれる人に感謝する日なんですよ!」
四月に入ってすぐに宗次郎は妙な事を言い出した。
「…聞いた事ねぇぞ」
「そうなんですか!やっぱり、年輩の方にはわからないんですね!」
「……で、一体何する日なんだよ」
「志々雄さんにわかりやすく言うなら……強者が弱者を労る日です。」
「なんで、そんな事する必要があるんだよ」
「知りませんよ。昔の人の考えなんて」
「馬鹿馬鹿しい。そんなの信じてるのか?」
さすが、志々雄。
すんなり信じてくれる訳なかった。
(が、なんとしても騙してみせる!!)
いつもの笑顔ではなく、殺気を放ちそうな笑顔で宗次郎は志々雄を睨んでいた。
「どうしたんだ?宗次郎……ヤバイ顔になってるぞ」
「そうですかぁ?」
「あぁ」
「とにかく、今日は特別な日なんです!」
「?」
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