□甘えたいけど甘えたくない
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呼ばれたから入れば、なにやら志々雄さんは男とお楽しみ中だった。


「・・・なかなか、よかったぜ。」

「え?まだ、」

「この後は俺の頼みごとが無事すんだら・・・な?お客が来てんだ」

「嫌だな〜。志々雄さん。見られたかったから呼んだんじゃないんですか?」


男の腕の隙間から僕をニタリと目を歪ませてみている志々雄さんに負けないぐらい口元を歪ませて笑みを作る。

そもそも、僕の顔には『笑顔』が張り付いているからそう簡単には歪んだ機嫌の悪そうな笑みにはならないんだけども。


「続きどうぞ?」

「っち。おもしろくねぇ。どけ。続きはお使いがすんだらだ。」

「は・・はい!では失礼したします!!!」


名残惜しそうに志々雄さんから離れて、ちらちら振り返りながら部屋から出て行った。

志々雄さんは優雅に乱れた包帯を巻きなおそうとしている。

一人でできたためしがないくせによくやる。

きっと僕が『手伝いますよ』なんて言わないかと思っているんだろうけど。

今の僕はかなり機嫌悪いから言わない。

いや。

機嫌がよくっても言わないかも。

一人で苦戦している志々雄さんを見るもの悪くないし。


「それにしても、かわいそうですよ。あの人。まだ、イってもなかったって感じですけど?」

「ねっちこいだけで、おもしろくもなかった。」

「わがまま。どうせ、貴方から誘ったんでしょう?」

「コロッと落ちたんだよ。」

「あーあー。組織の上が男色家だったなんて、吐き気しますね」

「人のこと言えた義理か?」

「なんのことですか?」


ニッコリ笑ってやれば、満足そうに頷かれた。

本当に、腹が立つ人だ。

彼が『志々雄真実』という男じゃなかったら、殺していたと思う。


「お前、抱いてやろうか?」

「なにか今。ものすごい嫌悪感しか感じない言葉を聞いた気がしたんですが?」

「逆か?」






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