□言葉の限界
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ドサッ



気付いたら、草の上で目の前には宗次郎の顔で。

肩はしっかりと宗次郎の手で押さえ付けられてる。


「……重い」

「言葉じゃダメなんです。伝えられないんです。」

「……どけ」

「……真実さん」

「どけ、宗次郎」

「ねぇ、真実さん」

「ふざけんのもいい加減にしろよ。宗次郎、どけ」

「どうやったら、僕の想い伝わりますかね?」


目の前が暗くなった。

冷たいものが志々雄の唇に当たった。

ちゃんと理解しようとした。

宗次郎の唇が志々雄の唇に当たっているのは明白。


(…どうするかだな…)


肩を押さえられているので腕が上がらない。


「ん!」

「……んっ………ふぅ」

「〜〜っ!」


ヌルリと宗次郎の舌が志々雄の舌を簡単に絡め取る。

だから、思わず噛み付いた。


「っ………!!」

「っち」

「痛いじゃないですか」

「もう一回出せ。噛み切ってやる」

「嫌ですよ」


笑い方が妖艶で、不覚にもドキリとした。

口の端から真っ赤な血を流し、血で濡れた舌をチロリと出す。


「……それより、マジ重いんだよ」

「どいたら逃げるじゃないですか。」

「当たり前だろ」

「だから、どきません」







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