裏
□似た者同士
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「あの二人はどうしタ?」
「知らねぇーよ。それより、何処にすんの?」
「お前何食べたイ?」
しっかり縁の手を握り−俗に言うカップル繋ぎ−剣路は嬉しそうに歩いている。
ここがいいと一軒の居酒屋の前で止まる。
「おい、酒はダメだゾ」
「えー。いいじゃん!縁さんに飲ましたいし、俺も飲みたい!!」
「まだ、子供だロ!未成年だロ!!」
「もう大人だ!16だし、毛だって生えてるし、」
「毛は関係ないだロ」
店前で二人は子供みたいな言い合いをしていた。
通る人が全員振り返る。
「………はぁ〜」
折れたのは縁の方だった。
「一杯だけならナ」
「えっ?」
「一杯だけだからナ」
「やっぱり、縁さんって最高だよ!大好きだぁ!」
顔赤くして先に入る縁に剣路は後ろから抱き着いた。
身長は縁の方が高い。
体型は剣路の方が大きい。
ちょうど、縁のうなじに剣路の顔が埋まる。
「縁さん石鹸のいい匂いがする」
「重いゾ。」
「親父と同じ年とは思えないよ」
「アイツより5つ下ダ。」
「そうなの?」
ようやく、離れて二人は端っこの席に座る。
縁は甘酒と何か腹が膨れるものをと頼んで一息ついた。
ここ最近仕事詰めだったので、久しぶりに息をついた感じだ。
「そういえば、言って来たのカ?」
「黙ってきた」
「えっ?」
「心配されるような年じゃないし。いつも言ってないから」
「……マジか………」
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