□似た者同士
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剣路の一言で頭が痛くなる。

あの二人の事だから、東京中探し始めそうだ。


「縁さん」

「アァ?」


思わず不機嫌な声が出た。

が、剣路は気にしていなかった。


「今日、泊めて」

「はぁ?」

「今日泊めてよ。縁さん」

「………親に言ってからならナ」

「もう、親に許可取る年じゃないよ。」

「…………ふむ」


家に泊めろと言われたのは初めてでもない。

が、縁はそれをさせなかった。

理由はなんとなく、泊めてはいけない気がしたから。


「……泊めてカ……」

「嫌なの?いつも断るけどさ。」

「そうじゃなイ。………なんで、泊まりたいんダ?」

「好きだから」

「前から思ってたンだ、その好きは『尊敬しているから好き』であり、『恋愛感情の好き』ではないんだロ?」

「今すぐにでも、手に入れたくなる『好き』だよ」


泊めていけない気がした理由だ。

剣路の目がまたに女を見る男の目に近い目で縁をみるから。

仮にも彼はアイツの息子だ。

その上男。

自分はもう40越えているわけだ。


「剣路、あのな」

「本気だから。縁さん」

「………わかった」

「え?」

「泊めてヤル」


嬉しそうに笑った剣路を見て縁は甘酒を一気に煽った。









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