裏
□ご両親にご挨拶
1ページ/5ページ
「で、今日はどうしたんダ?」
頬を赤く腫らして、縁の仕事場に駆け込んできた幼い恋人を見て縁はため息をでた。
見た感じにはどうせ、親子喧嘩。
母親に殴られたかなんかだろう。
恋人の緋村剣路はぶすっとしたまま何も言わない。
言わないから縁も何も聞かない。
淡々と仕事をしていた。
「縁さん」
「なンだ?」
「これから、二人で駆け落ちしよ!」
「はぁ?」
「無理だって分かってるけどさ。ねぇ、しようよ!」
「あのな、剣路。話の筋がさっぱり解らンのだけド。」
「細かいことはどうでもいいじゃないか!!」
「よかないワ!!!」
先程、やっと家に帰せたと思ったら今度はコレだ。
一体どんな教育をしたら、こんな子供が出来るのだと、縁は今度こそ文句を言いに行くつもりでいた。
一ヶ月も剣路は家に帰らず、縁の家に泊まったいた。
心配しているから帰れと帰したのが二日前。
で、今に至る訳だ。
「俺は、縁さんと一緒に居たいんだよ!」
「俺だってその………居たいけど………。で、何があったンだ?」
「親父と喧嘩した。」
「珍しく父親に殴られたって訳カ。また、なンで?」
「連絡なしに一ヶ月も何処ほっつき歩いてんだって。」
「だから、何度も帰れと言ったダロ。両親は心配するに決まっていル。」
縁はため息を吐く。
それを見て剣路は口を尖らせた。
「じゃあ、俺達の関係言えって言うの!?男で元マフィアで。しかも、前の奥さんの弟と付き合っているって!」
「前の奥さんはいらんダロ。それは言わなくても良いゾ。」
「許してくれると思うの!?」
「無理だナ。」
「無理でしょ!?」
妙に説得力あるな。
と、縁は感心して剣路の顔を眺めていた。
.