□ご両親にご挨拶
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「で、今日はどうしたんダ?」


頬を赤く腫らして、縁の仕事場に駆け込んできた幼い恋人を見て縁はため息をでた。

見た感じにはどうせ、親子喧嘩。

母親に殴られたかなんかだろう。

恋人の緋村剣路はぶすっとしたまま何も言わない。

言わないから縁も何も聞かない。

淡々と仕事をしていた。


「縁さん」

「なンだ?」

「これから、二人で駆け落ちしよ!」

「はぁ?」

「無理だって分かってるけどさ。ねぇ、しようよ!」

「あのな、剣路。話の筋がさっぱり解らンのだけド。」

「細かいことはどうでもいいじゃないか!!」

「よかないワ!!!」


先程、やっと家に帰せたと思ったら今度はコレだ。

一体どんな教育をしたら、こんな子供が出来るのだと、縁は今度こそ文句を言いに行くつもりでいた。

一ヶ月も剣路は家に帰らず、縁の家に泊まったいた。

心配しているから帰れと帰したのが二日前。

で、今に至る訳だ。


「俺は、縁さんと一緒に居たいんだよ!」

「俺だってその………居たいけど………。で、何があったンだ?」

「親父と喧嘩した。」

「珍しく父親に殴られたって訳カ。また、なンで?」

「連絡なしに一ヶ月も何処ほっつき歩いてんだって。」

「だから、何度も帰れと言ったダロ。両親は心配するに決まっていル。」


縁はため息を吐く。

それを見て剣路は口を尖らせた。


「じゃあ、俺達の関係言えって言うの!?男で元マフィアで。しかも、前の奥さんの弟と付き合っているって!」

「前の奥さんはいらんダロ。それは言わなくても良いゾ。」

「許してくれると思うの!?」

「無理だナ。」

「無理でしょ!?」


妙に説得力あるな。

と、縁は感心して剣路の顔を眺めていた。










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