□ご両親にご挨拶
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「とくかくだよ。俺、もう絶対に、あんな家には帰らないから。」

「俺にだって用事というものがあるのを理解してくレ。」

「邪魔はしないって。この一ヶ月間ずっと俺。いい子だったでしょ?」

「何がいい子ダ!!仕事中に襲ってきたのは何処のどいつだ!!!」

「あれはさ、縁さんが悪いよ!俺我慢してんのにエロいんだもん!!!」

「俺は普通に仕事してたダロ!」


顔を真っ赤にして縁は叫んだ。

本当に仕事中に剣路が盛ってくるせいで何本は貿易が止まってしまったこともある。

一緒にいて幸せだったのは、幸せだったのだがこれ以上仕事の邪魔されるのは困る。

剣路は縁さんだってノリノリだったくせにと呟いたのは聞かなかったことにした。


「もう、わかった。」

「ん?」

「剣路出かけるゾ。」

「何処に?海外?」

「………お前の家ダ。」

「嫌だって言ってんじゃんか!俺、絶対に帰らないからな!」

「剣路。」

「何」


縁はソファーの上で不貞されてる剣路の横に腰を降ろした。

父親にそっくりな髪の色を見て、いまだにちょっとイラッとくるが。

それを撫でてやる。


「帰ろう、ナ?」

「縁さんは俺と一緒に居たくないの?」

「居たいサ。居たいからこそ、周りにこそこそ付き合いたくないンだヨ。」

「………」

「………」

「………ちゃんと行ったら、いっぱいシてくれる?」


本当の事を言うと、もう腰が痛くてたまらない。

でも、それで帰ってくれるのならと縁は笑顔で頷いた。

今は剣路のせいで出た赤字を黒字に直すのが優先だ。


(悪いナ、剣路。お前のその純粋な気持ちを利用して。)

「約束だかんね!!」

「はいはい。じゃあ、行くか。」

「うん!」


二人は手を繋いで神谷道場へと向かった。












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