□ご両親にご挨拶
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さて、何とか神谷道場まで来たのだが、二人とも足が止まってしまった。

縁は人誅のせいでもある。

剣路は今しがた喧嘩したばかりなので合わす顔がないといった所だ。


「………剣路が先に行け。」

「縁さんが言いだしっぺだろ。」

「お前の家だろ。」

「縁さんが先に行ってよ。」

「いや、剣路。お前が」

「縁さんが!」

「お前ら何してんだよ。」

「「!!!!!」」


第三者の声がして二人は数センチ飛び上がった。

後ろを振り替えると、呆れ顔の弥彦とその弥彦の後ろから二人を見ていた燕がいた。

剣路はなんだとため息をついたが、縁はそれどころじゃなかった。


「剣路と誰だソイツ。」

「え?この人は雪代縁さんで、俺の恋人だよ。」

「へ〜。縁さん……………ってはああぁぁぁ!?」

「お………お久しぶりデス」


そりゃ、驚くだろうとは思うが、明らかに嫌な顔をしなくてもいいと思う。

縁は気まずいなと思ったがここまできたら引くわけにはいかない。

弥彦は剣路に説明しろと叫んでいるので、しばらくは質問攻めにはされないだろう。

それは助かった。

ふっと視線に気付いて縁は燕に笑いかけた。

ボンッと音がするような勢いで燕が赤くなる。


「は!?」

「ん?おい、燕どうしたんだよ。」

「ううん。なんにもないの。何でもない。」

「おい、白髪。燕に何したんだよ。」


いやいや、こちらが聞きたい。

掴みかかってくる弥彦をうっとうしいなと思って見ていた。


「弥彦にぃ。何してんだよ!」

「先に仕掛けてきたのは、この白髪だろ。」

「縁さんに白髪言うな!!そこが可愛いんだから!」

「知るか!!!」


不毛だ。

縁は時計を取り出して時間を確認して剣路を後ろから抱えあげた。

いつもは下に回っているが、力はまだ剣路ぐらいを余裕で持ち上げられるほどある。


「うわ!」

「時間が無駄ダ。文句なら後で聞いてやるヨ。ガキ。」

「ガキ言うな!剣路の方がガキだろ!」

「俺からみたらお前ら全員ガキだ。ガキ。」


剣路を抱えたまま縁は歩き始めた。

その後ろを弥彦と燕は黙って(訂正、弥彦はブツブツ小声で文句を言っていた。)付いてきた。










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