短
□嫉妬
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緋村剣心との戦いに敗れた宗次郎は由美の膝の上でぼんやり考えていた。
(あー、この膝の上に志々雄さんも乗ってたんだな)
とか、
(由美さん、綺麗だなぁ)
とか。
本当にどうでもいい事を思っていた。
どちらが正しいかなんてもはや宗次郎には関係なかった。
戦いに身を投じていた時は今までの人生を否定された気分で。
志々雄の考えも否定されたのに貫き通せなかった宗次郎は自分自身に腹が立った。
(もう、一緒にいれないんだ)
弱肉強食の理論の志々雄の元に帰れないのは明白。
「由美さん」
「どうしたの?」
「もう、僕は志々雄さんに会えませんね」
「…」
「由美さんはそこの扉を通って志々雄さんの元に行ってあげてください。扉は志々雄さんのところに繋がってますから。緋村さん達より早く着きますよ。」
「坊やはそれでいいの?」
「はい」
負けたのだ。
弱い人間はあの人の傍にはいれない。
一度、裏切りそうになった自分には一緒にいる権利はないんだ。
宗次郎はそう自分に言い聞かせて立ち上がった。
「あと、由美さんに伝えて欲しい事があります。」
もう一緒にいれないから
「天翔龍閃の正体と…」
志々雄さん………
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