短
□嫉妬
3ページ/7ページ
由美からの報告はこうだった。
宗次郎は緋村に負けた。
もう俺に付いて来る気はないらしい。
(お前ならよかったんだぜ。)
今更そんな事言えるはずなく、ただ返された懐刀を見ていた。
「志々雄様?」
(志々雄さん)
「大丈夫ですか?」
(顔色悪いですよ。歳なんですから、しっかり体調管理してくださいよ。僕、老人介護なんてしたくないですからね〜)
「志々雄様?」
(志々雄さんは特別に老後まで一緒にいてあげますよ。)
由美が心配そうに声をかけるが志々雄の頭の中を駆け回るのは宗次郎がいつか冗談で言ったものだった。
(…信じてたんだぞ)
懐刀を握る手に力が篭る。
例え、宗次郎が誰かに負けたとしても傍に置いてやるつもりだった。
親心みたいなものなのか
違う感情なのか
どうでもよかった。
だって、どんなに考えたところで宗次郎はすでに自分の傍にはいないのだから
.