□甘味
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志々雄と宗次郎が出会って間もない頃の話である。





京都に行くため二人はふらふら歩いていた。

幼く体力のない宗次郎を配慮して志々雄は獣道ではなく人道を歩くようにしていた。

そのため、人に会うのである村でぶん盗った坊さんの恰好に変装して歩いていた。

釈迦装束はゆったりしてるため志々雄の姿も気にならなかった。



「志々雄さん」

「あん?」

「疲れてきたんですけど……」

「何言ってんだよ。歩いてまだちょっとじゃねェか。それでしんどいってか?」

「志々雄さんは疲れてないんですか?……歩き始めてもう3日目なんですけど、寝ずに歩いてるんだし」

「……もう、そんなに歩いてんのか?」

「歩いてます。休憩しましょう?」


いつもの天使のような笑顔で見上げて来る宗次郎は冗談抜きで可愛かった。

志々雄が己の笑顔に弱い事を知っているらしく少し首を傾げる。

いつもなら此処で頷いてしまうのだが、今日はなんとか踏みとどまった。



(俺はこいつにだまされてるんだ!)








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