短
□甘味
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駄々を捏ね始めた宗次郎を余所に志々雄は黙々と歩を進めた。
(ダメだ!こいつの笑顔にほだされては!)
ちらっと宗次郎を振り返ると天使のような悪魔の笑みを返してくれた。
ドキッ
(大の大人がたがが餓鬼の笑顔をでときめくなよ!)
「あっ!志々雄さん」
「あん?今度はなんだよ」
「甘味処ですよ!!寄りましょうよ!また、お団子食べましょ」
「金ねぇよ」
「?……嫌だなぁ〜。前の村でこれでもかってぐらい金品盗んだじゃないですか!」
「知ってたのか?」
ばれずに盗んだとばかり思っていた志々雄には不意打ちだった。
面食らっている志々雄を見て一際楽しそうに宗次郎が笑う。
「疲れたのか?」
「はい!」
「団子食いたいのか?」
「はい!」
「今日だけだぞ」
「はい!!」
一体、何回"今日だけ"と言ってきたのだろうか。
笑顔で志々雄の手を引く宗次郎を見て小さくため息を付く。
(親馬鹿だな)
二人は仲良く甘味処に足を向けた。
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