□喧嘩
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「由美!」


いつもと同じように志々雄が由美を呼ぶ声が響いた。

しかし、いつものように返事をする由美の声はなく、代わりに怒鳴り声が響いていた。


「気安く呼ばないでください。」

「んだと、テメェ」

「私は志々雄様の召使じゃないんですのよ!」

「何、訳わかんねぇこと言ってんだよ!いいから、早く酒をつげって!!」

「嫌ですわ!」

「もういい!おい、宗次郎!!お前が酒つげ!!」

「はいはい」


傍に立って二人のやり取りをいつものように笑って見ていた宗次郎が、志々雄に言われた通りに酒をつぐ。


「方治!!おい、いねぇのかよ!」

「はっ…はい。お呼びですか?志々雄様」

「このタコ。呼んだらすぐに来やがれ」

「すみません!」


飛んで来た方治に盃を投げ付けて、志々雄が怒鳴りつける。

今日の志々雄は機嫌が悪いらしい。

全く、前後の話が見えなかった方治はひたすら謝った。







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