短
□散髪
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「志々雄さん。久しぶりに髪切ります?」
「あぁ?別にいい」
「残念ながら、僕が志々雄さんの髪を切りたいんですよ。さぁ、早く」
「何考えてんだ?」
「何も。……いいじゃないですかぁ〜今は二人だけだし、暇だし。」
ガキだな。
と、思わず口にしかけたが、何とか飲み込んだ。
志々雄は宗次郎に言われた通りに用意された丸椅子に座る。
まさか、宗次郎に髪を切って貰う日がくるだなんて思ってもみなかった。
(成長……すんだな)
「志々雄さん、髪伸びましたよね〜。凄いや。志々雄さんって毛根も強いんですね〜。」
「褒めてんだろうけど。てめぇ………馬鹿にしてんのか?」
「まさか、尊敬ですよ。……でも、懐かしいなぁ〜。僕、ずっとこうやって志々雄さんに髪切ってもらってたんですもんね。」
「そうだな。まぁ、今は由美に切ってもらってるんだろ?」
「エヘヘ。妬いてるんですか?」
「馬鹿か。妬かねぇよ」
懐かしい事をしていると、自然と話も昔話になるわけで。
二人はすっかり昔話に花を咲かせてた。
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