□慰霊
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初夏の京都。

比叡山、山中を宗次郎は歩いていた。

一体、これで何度目の夏だろうか?

久しぶりに家路に着く足は軽くも重くもあった。


「……はぁ〜、こんなにきつい山だったかな?………………ただいま、志々雄さん。」


もう二十を越えた宗次郎だが、ニッコリ笑う顔は変わってなかった。

着いた場所は、当時より緑が増えた元十本刀アジト跡だった。

昔は立派な洞穴だったのに今では跡型なく消えていた。


「ずいぶん、変わっちゃいましたね」

「なんや?宗次郎か?」

「宗ちゃん?」


懐かしい声に振り向いた。


「あっ。張さん、鎌足さんも!」


相変わらずホウキ頭の張とすっかり大人のお姉さんっぽくなった鎌足がいた。

二人とも手に花を持っていた。


「……もしかして」

「そっ。もしかしてよ。」

「なんや、今日コイツが留学から帰ってきてな。ほなと思ってきてみたんや」

「そうだったんですか。久しぶりですね。他のみなさんは?」

「仕事や。安慈の和尚さんはまだ服役中や」







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