□優越
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「………」


いつでも殺せる。

貰った脇差しを片手に、志々雄さんの寝室にいる。

眠りの浅い彼でも由美さんの隣だとぐっすり。

反国家勢力の首領が聞いて呆れる。


「………」


宇水さんでも寝込みは襲わないらしい。

ここ何年も忍び込んでいるが見ない。


「………」


この時だけ、自分に感情がなくってよかったと思う。

少しの剣気で起きるので、注意を払って刀を構える。


「………こんな事考えた事ありますか?」


しゃべる、呟くよりも息を吐き出すような声の出し方。

もちろん、起きない。


「自分が手塩にかけて、可愛く育てた弟子が。」


ピクリともしない。


「こーやって。毎晩」


一歩近づく。


「あなたに」


ベッドに乗る。


「刀を」


ギシリと鳴ったけど起きない。

志々雄さんに馬乗りになる。


「向けている事を!!!」


振り上げた刀を今日は勢いよく下ろす。

その瞬間、バッと眼を開けたが動けないように乗っているので起きた所で無駄。


「あっ。起きました?」

「何してんだ、テメェ。」

「口の利き方には注意してくださいよ。」


チクリと額に刀を押し付ける。

白い包帯が紅く染まる。


「今は僕が『強者』だ」















あなたのその悔しそうな眼が僕は大好きで堪らない。
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