□仮定
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「あーあー。これは派手に燃えてますね。」


場違いな程にのほほんとした声がその場にいた全員が振り向いた。

壊された門をくぐってきたのは十本刀の瀬田宗次郎だった。

相変わらずニコニコしている。

今まで高笑いをしていた志々雄が急に黙る。


「どうですか?火加減は。」

「………」

「あれれ?返事もできなくなったんですか?」

「………てめぇ………」

「はい?」


脇目も振らずに宗次郎は真っ直ぐに志々雄の元まで行く。

赤い眼がしっかりと宗次郎を捕らえた。


「笑いにきたか。」

「もちろん。いいザマですね。」

「………」

「志々雄さんにはその姿が一番似合いますよ。」

「言っとけ」

「言われなくても。」


ふっと宗次郎は笑みを消した。

代わりに志々雄がニヤリとする。

ぬっと火の中かた手が出てきて宗次郎の胸倉を掴んだ。

そのまま、火の方に引っ張られた。


「選別だ。ありがたく受け取れよ。」

「………」


ふれるだけの接吻をする。

ほんの少しだったのに宗次郎の唇は水膨れができた。


「あっつ。何するんですか。」

「選別だって言ったろ?」

「くだらないですよ。置いていくなら現金でお願いします。またの機会があれば………の話ですがね。」


そう言って、宗次郎は水膨れを潰した。




















「って、最後はどうですか?」

「自分を美化しすぎだろ。ってか、俺そんな余裕あったら勝てたんじゃねぇのか?」

「本当だ。志々雄さん、何してるんですか、しっかり!」

「お前がな。







end
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