短
□遇然
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「お使いの品だったのか?」
「はい。買ってくるように言われたんですけど。ないならないで、いいかな?」
意外にあっけらかんとしている。
子どもは剣心にもう一度ごめんなさいと頭を下げるとそのまま行こうと歩き出した。
ニコニコしたままだった。
「まて!!」
「?」
「立ち止まってオレにも責任はある。代わりのを買おう。」
「ありがとうございます。」
ニコニコしたままだったが、子どもはこう言った。
「やめた方がいいですよ。」
「なぜ?いるんじゃないのか?」
「ん〜、なくてもいいですから。」
「どういう意味だ?」
剣心は首をかしげた。
子どもは笑顔のままこう言った。
「お兄さん、お金ないでしょ?」
「・・・」
「あります?」
「・・・ない」
「ですねよ。」
ニッコリ笑って剣心に気持ちだけでいいですと言うと去って行った。
「なんてオレは無力なんだ」
無力ではないけど、お金がないと出来ないこともある。
お金を使わずに人助けをしようとこの時に決めた。
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