□代理
2ページ/4ページ


いつものように荒川の河口に向かう。

ふっと見ると彼が待っていた。

嬉しくって走りだしたいけど、巴さんはそんな事しない人だからできない。

もどかしい。

早く、彼の元へ行きたい。


「今日は、いつもと雰囲気違うンだな。神谷薫」

「雪代縁・・・おはよう」

「おはよう」

「ね?今日はどう?綺麗?私、巴さんみたいになってる?」

「・・・なってる。まるで姉さんみだいダ」

「本当?本当に?」

「あぁ」


嬉しい。

私、ちゃんと巴さんに近づいているんだ。

手を口に当てて、ふふっと笑う。

最近の癖。

彼の『愛した人』の代わりになる為に私が身につけたもの。


「じゃ、行こうカ。姉さん」

「うん。うん!!!」

「今日は何したい?」

「また、縁の昔の話聞かせて?で、今日こそはここに泊まってもいいでしょ?」

「・・・姉さんはそんな事言わない。」

「あ」


浮かれ過ぎだったんだ。

私は立ち止まって、下を向いた。

また、彼の『姉さん』から離れちゃった。

どうしよう。

嫌われちゃう。

どうしよう。


「縁・・・ごめんなさい。」









次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ